先日、恵那で行われた講演会に行ってまいりました。
講演者は、有名な歴史作家の童門冬二先生、実践女子大学生涯学習センターの大関啓子先生、
そして、『坂の上の雲』で出演された、藤本隆宏さんでした。
最初に、童門先生が、恵那市岩村町出身の「佐藤一斎先生」の三学の事をご紹介されました。
次に、郷土の郷士 下田歌子(実践女子大学創始者)の理想がこの佐藤一斎の考えに基づいて
いることを説き、まちづくりのありかたについて、講演をされました。
「少くして学べば 則ち壮にして為すことあり
壮にして学べば 則ち老いて衰えず
老いて学べば 則ち死して朽ちず」
(「佐藤一斎言志晩録 第六十条」)より
(この佐藤一斎という人は、江戸時代の哲学者で、有名な言葉では、最近、小泉元首相が
上杉鷹山や「米八俵」の精神を紹介されました。
上杉鷹山の師 細井平州が佐藤一斎先生と並んで東海の三先人といわれています。
東海の三先人(佐藤一斎・細井平州・鈴木正三)
佐藤一斎先生は、色んな人の師ですが、小泉さんは佐藤一斎の「重職心得箇条」と昨日の
恵那でも話題になった「三学戒」をとりあげました。
その上杉鷹山と佐藤一斎の本を書かれたのが、童門冬二先生です。
この佐藤一斎の先祖が、金森長近の伯母の嫁ぎ先 佐藤家であり、かつて、江戸時代末期
に、山岡鉄舟に対して、自分の先祖が飛騨にあるはずなので調べてほしいと依頼したこと
を『斐太後風土記』の著者 富田禮彦が「雑誌 いちいの栞」に発表しています。)
さて、その言葉に即して、実践女子大学の創始者 下田歌子先生は、
修身 → 斎家 → 国治 → 平天下 と唱えました。
すなわち、自分というものを修身して高めていかないと、いい家庭は作れず、
いい家庭がなくては、いい地方ができず、
いい地方がなくては、天下が平安ではないということです。
最近の世の中には何が足らないか。それについて孔子は、弟子の子晃からせがまれて、
一つの言葉で表すと何になるか、ということを説きました。
それは
「恕」という言葉です。
この意味は、「常に相手の立場に立ち、思いやりの気持ちを持つこと」となります。
また、其の後孟子は、この言葉について、こう説明しています。
「恕とは、忍び来るの心。→恒心である。
恒産なくんば、恒心なし。」と説きました。
つまり、
「まちづくりがしっかりしていなければ、住む人が恒心がもてない。
まちづくりには、ハード・ソフト両面にわたり備えることが必要。
それは、いい家庭から始めなければいけない。」
ということです。
恵那市では、現在「三学戒」を学ぶ試みとして、市内13か所にある図書館で、まず読書活動
をはじめ、この佐藤一斎の考え方を、市民に浸透させる試みをされている、とのことでした。
可知市長さんにもお会いして、その崇高な考え方を勉強させていただきました。
つづく
徳積善太