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10月19日放送分_山桜鹿毛の角について2

(10月19日放送分)みなさんこんにちは。飛騨の歴史再発見のコーナーです。
このコーナーは、飛騨の生涯学習者第二号 わたくし ながせきみあきがお届け
してまいります。

今日は、放送の前に二つお知らせがあります。まずはじめに、ツアーのお知らせです。
来る11月1日に、高山市の左京町の町内会の皆さんが、自分たちがお住まいの場所が、
金森左京屋敷だったというご縁を期に、現在越前市(旧武生市)で行われています
金森左京展に行きませんかというツアーを企画されています。ちょうど帰りには、
菊人形展が開催されていますが、そちらへも行きたいということでした。
参加費用は、人数が多ければ格安で行くことができますので、だいたい8000円くらいを
予定されております。今週中に、幹事の元副市長 梶井さんの方へご連絡をいただきたい
と思います。
連絡先は、ヒッツFMのほうへお問い合わせをいただければ結構です。
どうぞ、今回初めて開催されています、金森左京展にぜひご参加ください。
10月19日放送分_山桜鹿毛の角について2
私も、今月初めに現地を訪問しましたが、高山市に寄託されている史料のほかに、武生
近辺で収集されている史料や、越前白崎にあった、金森左京邸跡にお邪魔してまいり
ました。越前市と高山市は姉妹都市にもなっていますが、金森左京という人が、本家断絶
の後に3000石の知行地として与えられたのが、越前市の白崎というところです。

またそのほかにも、田中大秀の弟子の皆さんがたくさん越前白崎から来ていたことがあった
り、また、天保の飢饉の時には、飛騨の郡代 大井帯刀が、自費を投げ打って米を買い、
越前白崎の民衆の方を救ったということで、地元の方からは大恩人とされています。
そして、昭和に入って、郷土の偉人 牧野英一法学士や牧野良三法務大臣がいらっしゃい
ましたが、彼らの本家があったのも越前市だということでした。
そんな関係から、越前市と高山市は大変友好の深いところだということを実感しました。
この機会に行かれて見ては如何でしょうか。

なお、これは高山市図書館の橘曙見のツアーとは異なりますのでよろしくお願いします。

そしてもう一つ、イベントのお知らせです。毎週お知らせしましていますが、10月24日
土曜日午後1時より飛騨市古川町総合会館に於きまして、金森氏のシンポジウムを開催
します。5人の講師の皆さんが登壇され、金森氏の武家文化に関する発表をされます。
資料代300円が必要ですが、入場無料ですので、ぜひお越し下さい。

さて、前置きが長くなりましたが本日の放送に入りましょう。
先週、予告をしましたように、今日のお話は、9月29日に中日新聞に掲載されましたが、
飛騨の名馬 山桜号についてお話したいと思います。
10月19日放送分_山桜鹿毛の角について2
実は今年、7年ぶりに山桜号の角が丹生川の池の俣にある伊太祀曾神社でご公開帳され
ました。既に皆さんご存知と思いますが、山桜号は名馬としてその名も高く、本町に
ある馬頭様のご神体としても有名な馬です。たまたま私の家に代々伝わる山桜号の絵馬
2軸を御礼の意味も込めて展示奉納させていただきました。
この神社に伝わる伝説と、一般に高山市史などに伝わる馬頭さまの伝説と異なる部分に
ついては、先週お話ししました。

ちょっと振り返ってみますと。一般に山桜鹿毛という馬は、「山桜神社」の由来記や
「神馬橋」の由来などによりますと、「金森頼直公に献上されて、参勤交代の折に江戸の
金森屋敷に一緒に連れて行かれた。その折に、明暦三年(1657)の江戸の大火に遭い、江戸城
の鎮火に当った公が猛火に包まれた時、山桜は主君を乗せ従者三人を従えて江戸城百間堀を
越えその危急を救ったと伝えられています。」
つまり、金森頼直公に献上されたというお話が一般的です。

ところが、この神社に伝わる記録では、献上されたのが、二代金森可重公となっており、
江戸に行った折、火事から命を救われたというのも、可重公のお話であると、神社に伝わる
由来記には書かれております。
私の家の掛軸にも、おそらくこの神社の由来記からとったものでしょう。
可重公に献上されたという記録になっております。
10月19日放送分_山桜鹿毛の角について2
先週は、そういったお話をさせていただきましたが、今日の放送では、今回、池之俣で
ご開帳になりました馬の角。これには、先週お話した伝説のほかに、この神社にこの角が
由来したというお話が残っています。
本来、第三週目には古川のお話をしておりますが、この伝説のお話が、古川に関わること
でもありますので、ご紹介させていただきたいと思います。

 後半部分でその由来について、この神社に伝わる伝説についてお話したいと思います。
ちょっとここで、ブレイクしましょう。曲は「竹内まりあで 戻っておいで私の時間」
をお届けします。
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今日の飛騨の歴史再発見は、山桜鹿毛の角の由来についてお話しています。
10月19日放送分_山桜鹿毛の角について2
この伝説は、丹生川村史にも伝説として紹介されていますが、この元になっているのは、
この神社に伝わる「山桜大神奉祀由来」という巻物です。原本は漢文調で書かれています
ので、原文に書かれていることと、それを意訳されています丹生川村史に書かれている
ことをまとめてご紹介しますとだいたい次のようなことが、書かれています。

「この角の由来については、古川町馬場仁左衛門家に縁が深く 慶長五年以来代々厳重に
秘蔵奉示されてきていた。明治拾五年奮四月のときに、不思議な霊夢のお告げがあり
『丹生川池之俣は故郷なるが為め故郷え帰還を致度、信念増すとも 止まぬ苦労なからも
故郷へ護送を希ふ』と致度に亘りってお告げがあった。お告げが続く最後の夜 霊夢 
日々馬場家に永らくたたりを変て感する処多く、しかし因縁を感じるような心地があって、
『すぐにでも池之俣半右衛門家まで護送をねがう』と云う霊夢があった。
これは只た事ならぬと 覚醒し神の指図に従ひ 護送実施を急いだ。

一方、明治十五年四月八日夜、村内の中畑半右衛門の妻のいきという人が不思議な夢を
見たと家人に話した。
『昨日の夢に、どこからともなく身の丈五尺(約150cm)余の立派な栗毛で、角の
ある駿馬(すぐれた馬)が、家の庭先に現れた。家の御庭へ入り来る音響の勇ましさに
ほだされて思はず知らず戸外に立出見ると大に立派な栗毛馬で而かも金色帯びた角の
生たる名馬は四足踏み揃へて主婦に向ひ、さも親しさうな風情であったので何にか餌食を
与へて馬をかわいがろう』と思ったら夢から覚めた。
また、翌日九日の夜も寸部違わないまったく同じ夢を見たので、不思議なことだと話し
合っていた。

そこへ、翌日四月十日の昼頃、突然に吉城郡古川町の馬場仁左衛門という人が、『馬の角
一元』と『巻物一巻』を持参して、中畑宅をたずねられた。そして、馬場仁左衛門史は、
『これまで長らく祀っていた馬の角であるが、馬が生まれ故郷の池之俣へ帰りたがって
いる夢を見たので、今日持参した。』と話された。
これには、どちらの家でも、夢のお告げが正夢霊夢であると大いに喜んだ。

早速中村八造氏にも相談して、奉祀することに決めて、とりあえず、中村氏が二階に神棚を
つくり、この角を安置した。
その後、中畑・中村両氏が率先して、区民に相談し、観音堂建立に着手し、明治十六年三月
二十一日に竣工奉安の大祭を行った。その後、毎年三月二十一日が供養大祭日となっている。
また、この馬の角は村指定の文化財となっている。」

というお話です。この原文は、中村家に伝わっている巻物に詳しく書かれておりますが、
丹生川村史のP498にこの伝説について書かれていますので、お読みいただければと思い
ます。

また、総代を勤める中村さんのお話によりますと
「この巻物に、中畑・中村家の両家で誓いを立て、7年に一度は必ずご開帳をするという慣わし
になっていますので、先祖からの伝承として、子孫がしっかりと守っております。
現在、池之俣には、誰も住んでいませんが、私が責任を持って、この地区の神社をお守りして
いくようにしております。」というお話でした。
10月19日放送分_山桜鹿毛の角について2
先日、中村さんから今回絵馬を二軸展示させていただいたことをとても感謝されました。
初めて展示をさせていただいたことで、馬のイメージがこれではっきりしたということは
もちろんですが、丁度、神様をお守りされている随身の2体が鳥につつかれて現在修理に
出されていたところに空きができていた。そのため、神社の前にあった狛犬を仕方なく展示
していたらしいのですが、それを隠すように2つの掛軸をかけてもらって、体裁的にもよか
ったと地元の人達が喜んでおられたということでした。お役に立ててよかったと思います。

さて、本日も時間となりました。来週は、第4週目となりますので、匠の話題を取上げたい
と思います。
先日、少しお話しましたが、9月30日に東本願寺で修復されていた御影堂の完成式と、
親鸞上人の御影像の還座式がありました。そのお話と、修復している阿弥陀堂に飛騨の匠が
関わっていたというお話をしたいと思います。

本日はこの曲でお別れです。曲は「アリスで 帰らざる日々」
ではまた来週お会いしましょう!

徳積善太
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