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試楽祭と本楽祭

今回の春の高山祭は、「日枝神社の例大祭」というのが正式名称です。

一般には、「山王祭り」と言われています。
試楽祭と本楽祭

毎年4月14日と15日の二日間にわたって開催されますが、日枝神社では昔から
14日を試楽祭
15日を本楽祭
   と呼んでいます。


ある方から質問がありました。

「八幡祭りでは、7日が試楽祭、9・10日を例大祭と言っているみたいですが、これの違いは
なんですか?」

ということで、さっそく調べてまいりました。



<神社の重要神事>
神社では数多くのお祭りがなされていますが、その中でも最も重要なお祭りが3つあります。
それは、
1)五穀豊穣を祈るための祈年祭(=春祭)
2)神社がその場所に遷座されたことをお祝いする氏子のためのお祭り=例大祭
3)収穫したことを神様に感謝するためのお祭り=新嘗祭
の3つです。


<例大祭>
例大祭には、「試楽祭」と「本楽祭」の2つがありますが、ほとんどの神社が「本楽祭」のみを
やられています。


他の神社は次のようになっています。
・古川祭 (気多若宮神社例大祭)  4月19日試楽祭   20日本楽祭
・飛騨護国神社例大祭          5月4日試楽祭    5日本楽祭
・八幡祭(桜山八幡神社例大祭)   10月7日試楽祭・抽籤祭 9日・10日本楽祭
・一本杉神社例大祭           4月15日試楽祭(2時) 15日本楽祭(6時より)
・飛騨総社例大祭            5月4日献幣祭     5日御巡幸祭

高山管内では、上記以外に新宮神社(新宮)と若宮八幡神社(石浦)の2つが試楽祭・本楽祭を行なって
おられます。


それぞれ神社によって異なることがわかりました。

桜山八幡神社では、試楽祭において抽籤祭を行なっておられますが、山王祭りと古川祭では
3月の初旬に抽籤祭を別に行っておられます。


<試楽祭>
一般に試楽祭は、本楽祭(本番)のための準備のお祭りで、本楽祭が今から始まるぞという
合図のためのお祭りの意味や、神楽を打ち出すお祭りとして認識されているようです。
所によっては、前夜祭的に行われているところが多いようです。

<本楽祭>
一般にこちらが本番ですが、神社本庁から献幣を持参されるお祭りがおこなわれます。
一年に一度、例大祭が行われるため、神社本庁から幣を持参されます。


<献幣祭>

一般に、神社本庁から幣を持参し献上するというお祭り。通常は本祭である本楽祭において
献上の儀式がおこなわれることになっています。

試楽祭と本楽祭
(桜山八幡神社の例大祭にて。中央にあるのが金幣)

<神様の御巡幸>
こちらは、神様が氏子の区域内をおまわりになることを指し、お旅所がある場合は、お旅所に行くまでや
氏子の区域内を回ることを「御巡幸(行)」(ごじゅんこう)。お旅所から神社の本殿に神様が帰られる
場合を「還御(かんぎょ)」といって区別しています。

御巡幸が、幸せという字を書く意味については、「神様が氏子の区域をお周りになり、神様の御遺徳や
光があまねく届き、氏子が幸せになること」を意味しています。

またこれは、国見の意味合いがあり、神様がお周りになることで、家が建て替えられたり、子供が
生まれたりすることを確認したり、国の変化を確認されるという意味合いがあります。
一方で、行列される人たちが、国を見るという意味合いもあると思われます。

またこれは、未確認のことですが、江戸時代に入ると参勤交代があり、江戸に城主が詰めないと
いけませんでした。そのときに、家来や村民を借り出して参勤交代を行なうこともあったことや、
祭行列絵図の中に、「鉄砲隊」が含まれていたことから、参勤交代の予行演習的な意味合いも
あったものと思われるとのお話でした。



<神官の装束について>
一般に神職の方々には位があり、特級・一級・二級上・二級・三級・四級の6等級あります。
この方々はそれぞれ、身分によって着用できる装束が異なっています。

詳しくはこちら

日枝神社の例大祭においては、14日の試楽祭では宮司、権禰宜は正装。他の神社から
お手伝いに来られた神職の皆さんは白の装束で奉仕されます。
試楽祭と本楽祭

また、お旅所で行われる夜祭(やさい)では、狩衣でのご奉仕。

14日15日の御巡幸で奉仕される場合は、それぞれの身分の調衣で奉仕をされるので、
それぞれ異なるカラフルな色の装束を拝見する事が出来ます。
試楽祭と本楽祭

試楽祭と本楽祭



<献幣について>

元来、明治2年に全国の神社は、
県社、
郷社、
村社    に分けられました。
しかし、戦後になって、全国の神社を一律に平等に扱うことになり、この制度は廃止されました。

ところが、岐阜県においては、古川の上杉一枝氏が岐阜県の代表になられたときに、社格が一律
なのはおかしいということになり、
金弊社、
銀弊社、
白弊社、
無格社     の4つに分類されました。
したがって、この制度はどうやら岐阜県だけのもののようです。


また、金弊社の中から特別金弊社として神社本庁に届けてある神社があります。
これは、規則の中に「次の表に掲げるもの」という一項目があり、それを指す神社です。
飛騨においては、一宮水無神社と桜山八幡神社の2つです。

金弊社と特別金弊社の違いは、神社本庁に上納する金額が異なることと、全国の神社のリスト
(全国主要神主名簿)に結果的に掲載されるか否かということがあります。
したがって、神社本庁からの正式参拝のある場合は、この2社のみが正式に参拝されている
ようです。


(以上、飛騨総社宮司さん、飛騨護国神社権禰宜さんに確認)


徳積善太
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この記事へのコメント

(  ̄∀ ̄ )にやりねも さんのコメント

なるほど!!!
勉強になります!ありがとうございました。
また分からないことがあったらよろしくお願いいたします。
Posted on 2012年04月17日 00:07

ドラムおやじ さんのコメント

神社・仏閣には興味ありますね。
我が神社も試楽祭やります。
ただ、平服で行い、本楽祭の練習を兼ねたようなものです。
ところで、八幡様は「櫻山八幡宮」っていうのではなかったですか?
以前、天満神社って言ったら「天満宮」やって言われたことあります。
呼び方もいろいろありますね。
「大社」「神宮」「宮」「神社」

また教えてください。
Posted on 2012年04月25日 00:39

rekisy さんのコメント

ねもさん、ありがとうございます。

ドラムさん、宮と神宮と大社、神社の区別は一度調べます。
千島も試楽祭あるんですね。大きな神社ではたいていあるということでしたが、全部は把握しておりませんでした。
教えていただき、ありがとうございます。
Posted on 2012年04月26日 00:54

そうなんだ さんのコメント

社格の金、銀ってそういうことだったんですね!
今まで疑問でした。
勉強になります。ありがとうございました。
Posted on 2014年03月01日 00:44

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