HOME › 飛騨の歴史再発見 › 1月28日放送分 「節分の話。(ひだ歴史再発見風)」

1月28日放送分 「節分の話。(ひだ歴史再発見風)」

みなさん、こんにちは。この時間は、飛騨歴史再発見のコーナーです。
このコーナーは、飛騨の生涯学習者 第2号 ながせきみあきがお届けしてまいります。

今年ももう1ヶ月が過ぎようとしています。皆さん、節分のまめは用意されましたか? 
私の本業は、三嶋豆ですので、やわらかく煎った大豆も発売しています。どうぞ御利用ください。

この放送のバックナンバーは、ひだっちブログのほうにも掲載していますので、今までの放送についてご覧になりたい方がございましたら、どうぞ「ひだっちブログ」にアクセスしてみてください。また、番組に対するご意見やご要望、調べてほしいことなどがございましたら、ヒッツFMのほうに、ファクスかメールを下さい。ブログのほうへ書き込んでいただいても結構です。なるべくお調べしてお答えしていきたいと思います。
さて、今日の放送は第4週目ですが、節分が近いというので、今週は、節分とお豆のお話をしたいと思います。

 元来、節分とは「季節を分ける」ことから「節分」です。現在では節分といえば立春の前日だけを指すようになりましたが、季節の始まりを示す立春、立夏、立秋、立冬の前日はいずれも節分なのです。

 現在のように立春の前の節分が特にありがたがられる理由ですが、旧暦の時代では「立春正月」などといい、一年の始まりを立春付近に求めたことから、その前日は年の最後の日という意味合いを持ったと考えられます。このように年を分ける「節分」ということで、他の3つの節分より重要な位置を占めたようです。

豆まきでは、その年のえとの生まれの人:今年12,24,36,48,60,72,84,96,歳になる年男の人か、あるいは一家の主人が「福は内、鬼は外」といいながら煎った大豆をまき、みんな自分の年の数だけ豆を食べるとこれから1年病気にならないと言われています。 また、妊婦のいる家庭ではこの豆を安産のお守りにもします。もともと宮中の行事が一般家庭に普及したものとされますが、最近では大きな神社などで芸能人やスポーツ選手などを招いて豆まき大会をやっているケースも多いですね。

さて、この大豆ですが、硬いですね。 硬いものというのは、陰陽道の「木火土金水」の五行では「金」=かねに属します。この大豆は最初煎ることによって火気にあてられ「火にあぶって、金の力をなくします。」これを陰陽道では剋すといいます、 また、「鬼は外」といって外にまかれて捨てられたり、「福は内」といってまかれてから人々に食べられたりして、要するに豆はみんな「やっつけられてしまいます」。剋されるわけです。
1月28日放送分 「節分の話。(ひだ歴史再発見風)」
古来疫病や災厄というのも金気に属するものと考えられていました。ですから豆というのは実は鬼をやっつける道具でありながら実は鬼そのものでもあるわけで、豆まきというのは邪気を祓うとともに、「金」の気を剋する」という意味があります。陰陽道で「金を剋するのは植物の木」ですから、金を剋すことによって植物の気を産む。つまり春の気を助ける行事という意味から、春を呼ぶ行事とされているのです。

最近、スーパーなどに行くと、「節分用太巻き」というのが売ってあります。節分の夜にその年の恵方を向いて、太い巻き寿司をらっぱでも吹くかのようにくわえ、無言で食うと、1年間よいことがあるのだそうです。もともとは愛知県の方の風習らしいのですが、1977年に大阪海苔問屋協同組合が節分のイベントとして道頓堀で実施したのをマスコミが取り上げ、早速全国のお寿司屋さんがそれに便乗して全国に広まったということのようです。この日大阪の百貨店では巻き寿司が4万本売れるとのことです。まるでバレンタインデーのチョコレートと同じですよね。

なお、恵方(えほう,あきのかた)というのはその年に美しき歳徳神がいる方角で、昨年の2007年は壬の方角(北のやや西寄り)でした。巻き寿司を使うのは「福を巻き込む」からで、「縁を切らないために包丁を入れない」ということで、まるごと食べることになったようです。この恵方は毎年変化するのですが、ことし、2008年の恵方は丙の方位ですから、南のやや東よりを向いて食べるといいようです。 いいですか、南のやや東よりです。南南東の方角です。間違えないようにしてくださいね。
さて、ここでちょっとブレイクしましょう。 曲は竹内マリアの「駅」をお届けします。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
今日は、節分とまめのお話を、ひだ歴史再発見風にお届けしています。

さて、節分のお話だけしていますと、飛騨再発見ということになりませんので、ここからは飛騨のお話をしていきたいと思います。私の家の掛け軸にこのようなお話があります。
1月28日放送分 「節分の話。(ひだ歴史再発見風)」
「昔、飛騨の久々野山の麓に農事に熱心な甚吉というものあり。あるとき豆の木のまま国主に献上せしに、滋養分多く大いに賞賛ありて、姓を青豆と賜りしという」

このお話は、現実のお話で、久々野から朝日の青屋へ抜けるあたりに、現在も青豆さんという一族が住んでおられます。私もまだ見たことがないのですが、この方の御先祖が、「青豆」という姓と帯刀を許されたという書付があるそうです。

青豆甚吉さんは、10代続く旧家で、江戸時代初期にこの青豆を開発されました。時代的には、3代目の金森重頼公か頼直公の頃だと思われますが、一度、確認したいと思っています。この前、うかがったのですが、昔、私のおじいさんと青豆さんのおじいさんが剣道か何かで戦ったことがあり、「三嶋豆と青豆の戦いだ!」といわれたという逸話が残っているそうです。
1月28日放送分 「節分の話。(ひだ歴史再発見風)」
話がそれましたが、この豆は、現在では「薄青大豆」と呼ばれる豆で、一般に青豆と呼ばれているものよりは色が薄く、黒目で、扁平の丸形で、中流の形をしています。植えると、根元の部分が赤紫色になる品種で、私は、この品種を長年探してまいりました。しかし、ほとんどのものが飛騨で多く流通していた「ハトコロシ」という大粒種との雑種になっていました。この大豆、実は、飛騨から信州にかけての特有の品種で、塩尻にある農業試験場で、原種として農林水産省の種を保存するバンクに保管されていました。一昨年、岐阜県高冷地試験場や、高山市農業委員会の皆様の御協力で、原種の特定にようやくこぎつけ、飛騨の特定品種としての開発が可能になったばかりです。

三嶋豆という商品は、昔からこの大豆を使っていました。明治時代には、私の家は「錦豆」という名前で販売されていましたし、明治時代には、他社製品で「火の出る豆 大和豆」という名前でも販売されていたことがあります。私が20年前に家を継いだときに古老の方から「お前のところの豆は、暗闇でつぶすとぱっと火が出た」とか「衣に火の出る要素が含まれていて、こすり合わせると出た。押入れでやったので、翌日、布団がありだらけになって、親にものすごくおこられた」とかいう話を伺いました。どちらの方にも、「火の色は何色ですか?」と尋ねたら、「青白い火だった」ということでした。 

成分を調べてみましたが、衣には発火する元素は含まれておらず、大豆のほうに含まれている「リン」が発光したことがわかりました。世の中に、リンというのは、土壌などに含まれていて、特に人間の骨に含まれているものは、墓場の近くで発行するために「ひとだま」と呼ばれています。高冷地農業試験場の鍵谷先生のお話ですと、「大豆そのものに、リンを生み出す力は無く、おそらく土壌に含まれているリンを体内に蓄えていたのではないだろうか」ということでした。昔から、飛騨では大豆を林間地の痩せた土地や、山間部であまり作物が育たないような場所に植えたらしいので、土中に含まれるリン分が豊富にあったものだと思います。

さて、今年の節分の時には、今日のお話を思い出しながら、「福は内、鬼は外」といって、皆様に幸せが迷い込むように、豆まきをしてくださいね。

 来週の放送は、飛騨の匠のお話。水間相模と松田太右衛門をお届けします。
今日は、この曲でお別れです。「寺尾聰で 出航(さすらい)」 ではまた来週。

徳積善太
スポンサーリンク
同じカテゴリー(飛騨の歴史再発見)の記事画像
中橋の歴史と江戸時代の色について260215放送分
平成25年7月5日放送分_大津祭りは高山祭のルーツ?について
平成25年6月28日_大津絵について
平成25年6月22日放送分_北飛騨の浄土真宗について
250614白川郷の浄土真宗調査について
250607赤田家について
同じカテゴリー(飛騨の歴史再発見)の記事
 中橋の歴史と江戸時代の色について260215放送分 (2014-04-08 00:54)
 平成25年7月5日放送分_大津祭りは高山祭のルーツ?について (2013-07-06 11:00)
 平成25年6月28日_大津絵について (2013-06-28 23:59)
 平成25年6月22日放送分_北飛騨の浄土真宗について (2013-06-22 23:59)
 250614白川郷の浄土真宗調査について (2013-06-14 23:59)
 250607赤田家について (2013-06-08 14:34)

この記事へのコメント

飛騨郎 さんのコメント

三嶋豆のご主人さんでしたか。それにしてもブログの更新が凄いですね。
毎週HitsFMでは生放送されているのですか?
あと、国分寺通りのお店はそちらと関係あるのでしょうか。。。
Posted on 2008年01月29日 12:49

ネコ先生 さんのコメント

ここで五行相克の図が出てくるとは思わんかったなー(^^)。
Posted on 2008年01月29日 16:04

rekisy さんのコメント

★飛騨郎さん
いつもありがとうございます。ブログ更新を毎日できるようにがんばっています。
応援してください。
国分寺通りのお店は、他社さんです。

★ネコ先生
節分を説明するのに、どうしても五行相克のお話をしないといけなかったので、入れました。
Posted on 2008年01月29日 22:54

コメントする

上の画像に書かれている文字を入力して下さい
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。