昨日の雅楽会の新年会で、会員の田近さんが、
「うちにこんなものがあった。誰が書いたかわからないが、あなたに見て
もらいたいと思って持ってきた。」
といってコピーをくださいました。

そこには、「飛騨總まつり奉讃歌」と称して、次の歌が書かれていました。
「飛騨の国内(くぬち)の里々乃
神集ひます大まつ里
吹きなす笛も宮川の
清き流れとすみ渡里
うつや鼓の音も冴えて
鞍が嶺(くらがね)高く響くな里
世の平和(たいらぎ)を祈るなる
神も諾(うべな)ひきこしめせ」
田近家にこの歌は代々伝わるもので、おそらく田近氏のお父上が、時の神官
からもらったものだとのことでした。
さて、その神官はどの人か。
日枝の雅楽会創設が大正3年。田近氏のお父上嘉三郎氏が、分家され、鳩峰車台組で
古物の商売を営んでおられ、その中から古本の専門店として、本町に開業された
のが、大正年間とのこと。現在も田近書店として高山では有名な書店を経営されて
おられます。
雅楽を始められたのが、八幡氏子の時だということですが、その後日枝の氏子となって
からも雅楽を続けられました。雅楽会の楽長としてご活躍されました。
一方、日枝神社の大祭開催が、明治10年(1877)、明治20年(1887)、昭和10年(1935)
昭和23年(1948)、昭和33年(1958)、平成8年(1996)ですから、おそらくこの歌は
昭和10年の大祭のときの物だと思われます。
昭和10年の社司は富田豊彦氏。(万延元年(1860)~昭和15(1940))

国学者、神職。高山生まれ。道彦の子。幼名は銀之丞。号は文坡。祖父の礼彦を始め
佐々木弘綱、山崎弓雄らに国学や和歌、漢学などを学ぶ。日枝神社社司、斐太中学教諭
など歴任。荏名門の文台を継承し門人を指導。『岐阜県飛騨国大野郡史』編纂委員の
一人。従7位勲8等瑞宝章。著書『飛騨古今詠歌人名録』『まゆみ園集』など。
(飛騨人物事典)
この方は、このブログでもお知らせしましたが、広瀬武夫の友人の一人だった方でも
あります。
徳積善太